東京都現代美術館『翻訳できないわたしの言葉』展が始まりました。

   4月18日から7月7日まで、東京都現代美術館にて展覧会《翻訳できないわたしの言葉》がはじまりました。ろう者、障害者、外国人、アイヌなど、固定観念とも言える社会的な”属性”を個人の視点から紐解き、5人のアーティストたちの《ことば》に寄り添うことで世界の多様性が提示されています。

 コネクト代表のササマユウコは今回参加しているアーティストのひとり体奏家・新井英夫さんとパートナー板坂記代子さんと共に、横浜地域作業所カプカプで2015年からワークショップチーム『新井一座』をご一緒しています。そして、その時間の中で2022年に新井さんがALSの確定診断を受けました。しかし新井さんが「不治の病」を抱えて「重度の身体障害者」となったからといって芸術の本質が変化したとは思えず(深まったとは思いますが)、その《変わらぬカプカプ日和》を写真で記録してきました。
 今回の新井さんのコーナーは『カラダの声に耳を澄ます』がテーマです。2015年から9年間、カプカプーズと新井さんが紡ぎだす『関係性のサウンドスケープ』にフォーカースした記録写真のほんの一部をセレクトして提供していますので、ぜひ耳や目を澄ましてご覧頂けたら幸いです。会場には新井さん&板坂さんが各所で展開したワークショップが体験できる手仕事のモノたちも用意されているようです。レイアウトは舞台美術家の長峰麻貴さんです。
 他のアーティストも含め、さまざまな関連企画も予定されています。5人の視点が響き合った時に世界の豊かさが浮き彫りとなる展覧会なのだろうと思っています。『現代アート』をアップデートする企画としても是非ご注目ください。

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執筆:ササマユウコ(音楽家・芸術教育デザイン室CONNECT代表)

1964年東京生まれ。2011年東日本大震災・原発事故を機に、『音楽、サウンドスケープ、社会福祉』の視点から自分の編み直し、語り直しをはじめる。都立国立高校、上智大学文学部卒。1986年セゾングループ一芸入社(文化メディア)。2000年代の創作活動のみならず、公共劇場、映画、出版、社会教育現場を経験。弘前大学大学院今田匡彦研究室(2011~2013)。アートミーツケア学会理事。日本音楽即興学会奨励賞(2023)