空耳図書館の実験室①即興の記録『春と修羅をあそぶ』公開しました

 今から98年前の大正13年(1924年)4月20日に宮沢賢治は生前唯一の詩集『春と修羅』を自費で世に放ちました。大正11年4月8日「俺はひとりの修羅なのだ」と始まるひとりの青年の心象スケッチは22ヶ月を経て、まるで青春期が終わるように「わたくしといふ現象は」と達観するまでの記録です。時系列的には「あとがき」でもある「序」の映像版は3月11日に公開しましたが、今回はそのライブ版として、詩集『春と修羅』一冊を丸ごと朗読・身体・サウンドスケープの記録として残しました。

 本来、こういった内部資料映像は公開しないものですが、この詩集を読み解くキーワードでもある「記録」に立ち返ったとき、公開を前提しない即興の中にこそ賢治が詩未満と語る「心象スケッチ」のような未完の輝きが見つかることに気づきます。芸術家たちは、この原石を丹念に磨いて時には「作品」にすることもあります。しかし後に何も残らないからこそ、一期一会の即興に尊さを感じることもあります。「記録」とは何か。自分が確かにここに存在した、生きたことの証かもしれません。

 本当は3時間近くあったのですが(苦笑)、8分にまとめてみました。逆にいえば上澄みすら掬い取れていませんが、どうぞ想像力を働かせてお楽しみください。このプロジェクトは賢治に導かれるように次なるステップに進んでいます。コロナの先行きもわかりませんが、願わくば『空耳図書館のなつやすみ』で皆さんに直接この時間と空間を体験して頂けたらと思っています。実験音楽だけでなく、コミュニティミュージックや音楽療法、世代やジャンルを越えたワークショップの種も見つかるはずです。

どうぞ引き続き、ご注目ください!生きることは即興なり、それはまるでヘタクソな音楽のように。

参加メンバー紹介→

○この映像は『コロナ時代の新しい音楽のかたちを思考実験する②空耳図書館の活動を中心に』(令和2年文化庁文化芸術活動の継続支援事業 ササマユウコの音楽活動)の記録です。

 

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