「植物園カフェ」のおはなし

※9月11日にFBでご紹介した記事ですが、反響が大きかったのでこちらにも転載いたします

 

 気持ちの良い吹き抜けのアトリウム脇にあるオープンな「植物園カフェ」(サカタのタネグリーンハウス内)にコネクト・レジデンスアーティストで女子美術大学講師の沼下桂子さんと共に伺いました。ここには「働く人に」寄り添うようにゆったりと静かな時間が流れています。福祉作業所とも少し違う、このカフェに集う人たちが植物の蔦のように有機的に自然につながりあって、ほどよく風が通る緑の風景を編んでいく。そういうコミュニティ・カフェが緩やかに育てられていくのだろうと思いました。先日のカプカプも20周年でした。植物のように静かにゆっくりと育つ場の大切さ、その魅力を実感しています。通りを挟んだ向かいには女子美術大学、隣りは小さな動物園。制作に煮詰まった学生さんには特におすすめのスポットです。
 ただひとつ問題が・・植物園全体が「スーパーマーケットの音風景」だったことです。神奈川県立の公共植物園なので建物は贅沢な吹き抜けの石造り、音もよく響く。アトリウムだけでなく、せっかくの植物園カフェもスピーカーから強制的に流される「スーパーの日常の音」に覆われています。

 本来、植物園の目的は「植物の声をきく」こと。植物の存在そのものがオンガクとも言えますし、そもそもイベントやカフェ以外に植物園で音楽が必要でしょうか。植物園だけでなく、学校、図書館、病院など公共の場のBGMは、音の質感だけでなく場との関係性、文化的背景を含めもっと慎重に吟味する必要があります。「公共にはクラシック」という時代ではありませんし、音楽ではなく「音」でもよいのです。この植物園のBGMはモノの質感に例えるなら、植物と正反対のプラスチック製品でした。「植物園」を訪れた人に何を伝える場なのか、本来の目的に立ち返って考えたい問題でした。サウンドスケープの哲学を背景にしたコネクトとしては何とも見過ごせない、聞き逃せない状態でしたので記させて頂きました。
 ということでミッションは突然やってくる。エコロジカルな「サウンドスケープ(音の風景)」をテーマに「植物園カフェ」とコネクト代表・ササマユウコの対話が始まります。沼下さんも美術関連の企画を練り始めています。(サ)