新年度のご挨拶

 準備期間も含めると2014年6月からスタートした’コネクト活動’の第1期も残り2カ月となりました。ふり返ればあっという間の3年間でしたが、本当に様々な出会いに恵まれ、何よりもまず私自身が学びの多い3年間となりました。また同時に「つなげること」から生まれる摩擦や葛藤、思考や方法論、つまりは「言葉」の違いにも気づき、「想い」が絡み合い一筋縄ではいかない芸術特有の難しさも感じました。

 主な活動としては設立当初の目的である①芸術家と研究者(大学)のネットワーク構築②情報発信③場づくりを3本柱に、相模原市、町田市を中心とした「都市郊外の暮らしと芸術」のリサーチ活動を展開してきましたが、1年も経たないうちに活動は国内外や世代を越えた広がりもみせました。せっかくの広がりを目的内に押しとどめることなく、流れに身を任せてみようという柔らかさも忘れないようにしました。

 キーワードである「コネクト(つなぐ、つながる、つなげる)」には、領域や専門を越えた人と人、人と場が出会うことから生まれる「間」を求めました。活動にはカナダの作曲家M.シェーファーが提唱したサウンドスケープ論を「内と外の関係性の哲学」と捉え直し、応用していきました。シェーファーの著書『世界の調律~サウンドスケープとは何か』(平凡社)の中には、サウンドスケープ論が「社会福祉」にもひらかれるだろうと示唆されていたことを実践してみようと思ったからです。簡単に言えば、人と人の出会いや場づくりを「音の風景」をデザインするように編んでいくのです。ですから、コネクトの活動そのものは、やはり「音楽活動」であるという意識がありました。この「音を出さない3年間の音楽活動」をふり返りながら、現在第二期に向けた「課題と展望」を言葉に変えている最中です。

 第一期の後半からキャッチフレーズを抽象的に「つなぐ、ひらく、考える」としました。もちろんそこには設立当初の目的も含まれるのですが、活動は「まちづくり」や「ワークショップ企画」’そのもの’ではなく、あくまでもその活動から見えてくる事象を考察する(考える)方に軸足があると感じたからです。ですから要なのはやはり「言葉」です。その言葉からも音風景を編んでいくのです。
 特に最近は、若い芸術家の活動に「世代交代」を強く意識する場面が増えました。同時に言葉にして下の世代に伝え残さなければならないことが、自身の経験にも沢山あることを自覚しています。社会の空気からどんどん昭和の記憶が消え始め、この国の芸術や教育の歴史を共有できなくなったと感じる場面も増えました。本来は教育や芸術にこそ不可欠な知識の学び、かたちだけではない根源的な五感や身体感覚の経験も必要だと感じます。芸術の内と外、どちらの世界に対しても「学ぶ場」の必要性を感じているところです。
 申請が無事に通り、6月からの第2期が実現可能となりましたら、またあらためてご報告いたします。3年間の事業報告もご希望の方がいらっしゃいましらたメールにてお問合せください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(芸術教育デザイン室CONNECT/コネクト代表 ササマユウコ)