「パフォーマンスキッズ・トーキョー」ホール公演Vol.42 SUNDRUM(サンドラム】編 「たいこたたいて うたって おどろう!真夏の大サンシャイン音頭ゥ☆ヤホホイ!」

 作曲家・宮内康乃さん主宰の「つむぎね」主力メンバーでもある大島菜央さん、ArisAさん等で構成されたパフォーマンス集団「SUNDRUMサンドラム」。国内外のライブが注目ですが、今日はホールを使った初めてのワークショップということで、東大和市ハミングホールで開催されたパフォーマンスキッズ・トーキョーの公演「たいこたたいて うたっておどろう!真夏の大サンシャイン音頭ゥ☆ヤホホイ!!」を観せて頂きました。実は私の方も今日が初サンドラムだったのですが、内容は「ほぼいつも通り(当事者弁)」だったそうで、子どもたちを大らかに包み込み、ホールの内外を使った壮大でパワフルなプログラムが完成していました。休憩なしの濃密な1時間半、まずは10人の子どもたちが「やりきった!」こと、集中がまったく切れなかったことに驚きました。都市郊外の新興住宅地で育つ子どもたちの中に、21世紀型伝統芸能が生まれる瞬間に立ち会えたような気持ちでした。もしくは秘境の奇祭を目撃したような不思議な感動か。わらべうたや盆踊りの持つ「型」の力も上手に活かされたことで、音楽的には複雑な要素でも無理なく楽しく挑める。誰にでも平等に自然に「見せ場」が回ってくるので、その場を引き受ける潔さが子どもたちに育まれていたと思います。そして特筆すべきなのは、今回のワークショップが鹿の皮や地元の竹を切りだして、自分たちが使う太鼓を作ることから始まっていることです。生命や自然と地続きにある太鼓の響きを本能的に「自分の音」としてよくきいて丁寧に力強く鳴らしていました。さらに印象的だったのは、馴染みのある日本語を喉に負担のない地声で歌にするサンドラム独特の歌唱法です。歌と太鼓と身体、ワークショップは地に足のついた手法が基本ですが、子どもたちにとっては日常にポケモンの幻を探す以上に、幻想的で夢のような体験だったと思います。心身のリズムが見事に一体化した心躍る生命の時間でした。

最後は見学者も全員ロビーで輪になって踊り歌いました。境界線を越えてサンドラムの世界に入る瞬間はまるで神事。さまざまな仕掛けやアーティストの要求に応えたホールの柔軟な姿勢も評価すべきと思います。何より「サンドラム」という底知れぬ可能性に、今後も期待したいと思いました。(ササマユウコ記)