第2回「キクミミ研究会~身体と音の即興的対話を考える」

ダンサー/体奏家・新井英夫さん×代表ササマユウコのコラボ企画「キクミミ研究会~身体と音の即興的対話を考える」。昨年12月に第一回を実施し隔月で展開しています。
前回は「鈴」や「新聞紙」を媒体(メディア)にした非言語コミュニケーションを試してみました。今回はまずコトバでの「対話」を3時間以上!そして、紙コップとピアノ、身体を使った非言語の時間を作ってみました。

自らの活動や現場で感じていること等を他者に対して「コトバ化」してみる。また今の自分に至ったプロセスをふり返ってみることで、「今なぜ私はこの活動をしているのか」、その輪郭がよりはっきりしてくると思いました。それはおそらく他者に「伝える」ことを目的にコトバ化しているからだと思います。
新井さんとはほぼ同世代なので、子どもの頃の社会の空気感、また「芸術」の在り様の変遷なども社会事象と共に追いながら、お互いが生きてきた時間、「現在と過去は何が同じで、何が違うのか」を再認識しながら、ずっと続けていることで逆に見えづらくなっている「時の流れ」を意識しました。そして「非言語」の中に何を落とし込んで次世代に伝えていくかを模索しました。

今回使用した「紙コップ」は縦方向にも空間軸がつくれ、また床の材質によっても多彩な響きが生まれます。転がした時に自分の思った通りにはならない、しかもすぐに止らない「余韻」のある動きを見せるところも面白いです。日常にある何気ないモノから不思議な世界がたち現れてくる。「ワクワクする」生きた感覚です。
そして非言語コミュニケーションの「オト」は、響き(和声)やリズムのみならず、「静寂=間」がとても生きてくる。一方通行ではない、音楽に合わせて踊るのでも、踊りに合わせて音楽を付けるのでもない音と身体の「対等な関係性」を探ります。

次回はCD「生きものの音」を録音した調布「森のテラス」での実施を予定しています。外につづく空間で、森の音を聞きながらどんな「対話」が生まれることでしょう。
そしてこの研究会、Closedではもったいないクリエイティビティの高さがありますので、いずれ若い世代に向けて場をひらいていきたいと思います。
(ササマユウコ記)