歌の生まれる関係性(町田市障がい者青年学級)

7日に行われた40周年記念コンサートの様子(町田市役所本庁舎)
7日に行われた40周年記念コンサートの様子(町田市役所本庁舎)

 1974年から始まり、7日に40周年を迎えた「町田市障がい者青年学級」には現在約180名が在籍し、これまでの学級活動の中から生まれたオリジナルソング(歌)が120曲近く存在します。普段の活動や様々なイベント等で歌われていますので、彼らの歌声をどこかで耳にした方も多いのではないでしょうか。この日も吹き抜けの市役所ロビーには元気な歌声が響いていました。

 ところで、こんなにたくさんの歌が生まれた理由は何でしょう。もともとこの学級の目標は「音楽・スポーツ・演劇・創作活動を通して「生きる力・働く力」の獲得」にあるので、スタッフには音楽が得意な人も集まります。ただ学級生とスタッフが「一緒に」歌をつくり歌うことが当たり前(日常の活動)となる関係性を築くには、40年という時間の積み重ねが必要だったと思います。押し付けられた歌ではなく、活動や仕事の中から自然と歌が生まれ、障害のある人/ない人、学級生、ボランティアスタッフ、職員を始めとする学級に関わる皆がその歌を愛し、自発的に歌い継ぐ在り方は、民謡や祭り囃子によってつながるコミュニティ同様、人と人のつながり方の最もシンプルなかたちに見えました。それは先日訪れた特養施設での「歌う♪寄り添い隊」の音楽療法ボランティア活動でも感じたことです。

 何より、みんなが大好きだという歌には、コミュニティの外側にいる私たちの心にも届く「音楽」としてのチカラが備わっている。それは昨今、美術の世界で注目されている「アール・ブリュット」や「アウトサイダー・アート」の印象とも共通した作品が生まれた背景にある「生命力」とも言えます。同時に(諸説ありますが)人類に「歌」が生まれた音楽の起源そのものにも、あらためて想いを巡らせる貴重な時間ともなりました。世の中には「歌」があふれていますが、地域で歌い継がれている民謡や、小さなコミュニティから生まれる「歌の生命力」が私たちに教えてくれることは思いのほか沢山あると感じます。

 ちなみに自治体の社会教育事業とネットワーク型民間運動の違いはありますが、奈良の「わたぼうし音楽祭」も来年40周年を迎えます。両者の活動が共に40年続き、その原動力のひとつに生活に根差した「歌」の存在があったことは注目すべきと言えるでしょう。